ANCLARO

福島県会津発のレザーブランド「ANCLARO」の制作日誌と思考のアウトプット

Timelessを実現するために-ANCLAROのブランドコンセプトについて

さて、前回は「素材の寿命にデザインの寿命を追いつかせたい」という話をしました。

 

今回の記事では、デザインの寿命を伸ばすためにANCLAROが掲げる、「アンティーク×クラシック×レトロ」の様式についてお伝えします。


まず、具体的にデザインの寿命を奪うものは何なのか。私は大きく分けて「時代」「流行」「年齢」の3つがあると考えています。


1. 「時代」への依存
例えば財布の世界を例にすると、今の最も大きな流れは「キャッシュレス化」による極薄・極小・多機能化です。

現代の軽快なライフスタイルには、非常に合理的でスマートな選択肢だと思います。

しかし、これらはあくまで「現在の決済インフラ」に特化した、いわば過剰適応の状態です。

10年後、決済システムがさらに進化すれば、今の「便利な形」は意味をなさなくなるかもしれない。

また、どれだけデジタル化が進んでも、現金というシステムや「お気に入りの物を手にする感触」を大切にする人々は、一定数残り続けるのではないでしょうか。

特定の時代の仕組みに100%適応したものは、その時代と共に形を変えていく宿命にあります。

私は、道具が特定の時代のインフラに縛られすぎないことも、一つの「Timeless」の形だと考えています。

 

2. 「流行」の消費サイクル
ポッと出のキャラクターや、一過性のモチーフ。これらは一瞬の爆発力はありますが、消費されるスピードもまた驚くほど速い。
「今、みんなが持っているから」という理由は、裏を返せば「みんなが持たなくなったら終わり」ということです。命をいただく革という素材を扱う以上、一過性のサイクルに乗せない作品を作りたいと考えています。

 

ここで一つ誤解がないようにお伝えしておきたいのが、私は「モチーフ(特定の題材)」そのものを否定しているわけではない、ということです。

実際、ANCLAROでも「赤べこ」を彫刻した製品や、「チョコレート」を模したデザインの製品を制作しています。
これらも一種のモチーフではありますが、共通しているのは、それらが既に「古典(クラシック)」であるという点です。

例えば赤べこは、数百年以上前から続く郷土玩具であり、時代を超えて愛されてきた普遍的な造形美を持っています。チョコレートもまた、何世紀も前から人々に愛され続けている不変のアイコンです。

 

大切なのは、そのモチーフが「消費されるキャラクター」なのか、それとも「歴史に裏打ちされたアイコン」なのかという違いです。
時の試練をクリアしているモチーフであれば、それは10年後、20年後も決して色褪せることはないと考えています。


3. 「年齢」という変化
ここが一番大切にしている部分です。
多くのブランドは「20代向け」「50代向け」とターゲットを絞ります。しかし、人は10年経てば必ず10歳歳をとり、嗜好も立場も変わります。
20代の時に「若いから」と選んだデザインが、30代の自分には幼く見えてしまう。それは、そのデザインが持ち主の成長を追い越せなかったということです。持ち主が歳を重ねても、常にその時の自分に馴染んでいる。そんな「年齢を問わない佇まい」こそが理想です。

 

これを避けるために、私は設計の段階で一種のフィッティングテストを行っています。自分の周りにいる様々な年代の知人や、街ゆく方々を見て、その人がその製品を持っている姿を、一人ずつ脳内でシミュレーションしてみます。
10代や20代の若者が持っている姿、あるいは50代の落ち着いた大人が持っている姿。そのどちらを想像しても、そこに不相応な違和感が生じないか。

特定の世代にフォーカスするのではなく、幅広い世代の方々の隣にあっても自然に見えるようなバランスを探り、それをクリアしたものだけを形にするようにしています。

 

 

結論:なぜ「アンティーク・クラシック・レトロ」なのか


これら「時代・流行・年齢」という3つの罠を避けるためには、どうすればいいか。
その答えとして、ANCLAROでは「アンティーク×クラシック×レトロ」という様式を見出しました。
数十年、あるいは数百年という時の試練を既に乗り越えて生き残ってきたクラシックなデザインには、不変の美しさがあります。

そして、アンティークやレトロといった、こちらも時間に負けにくい要素で、普遍的になり過ぎず、静かな個性を与える。

これが、ANCLAROの目指す「ANCLAROらしさ」です。

この様式をベースにすることで、ANCLAROの作品が、10年後、20年後のあなたにとっても「価値ある道具」であり続けることを目指しています。

 

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