ANCLARO

福島県会津発のレザーブランド「ANCLARO」の制作日誌と思考のアウトプット

革製品の選び方ー鞣しと仕上げの違い

こんにちは。「Timelessな革製品」をコンセプトに、アンティーク×クラシック×レトロな革製品を制作・販売しております。ANCLAROです。

 

今日から、「革製品に興味はあるけど選び方がよくわからない」という方のために、基本的な革の知識をざっくりと説明するシリーズを不定期で更新していこうと思います。

初心者さん向けに、語弊は許容して大きくざっくりと説明しますので、そのあたりはご了承ください。

 

この記事では、まずは革の鞣し(なめし)の違いについて。それから、染料仕上げ・顔料仕上げの違いについてを説明します。

これらを理解することで、ご自身のファッション、用途、好みによって、どんな革製品が合っているのかを理解しやすくなると思います。

 

・鞣しについて

まず牛革は、原皮の状態だと腐ってしまうため、製品に使える革にするために、タンナーという皮革製造の業者さんで鞣しという工程を経ます。

この「鞣し」ですが、大きく分けて2種類の鞣し方があります。

 

専門的で化学的なことはすっ飛ばして、消費者さんの視点でどう違うのかにフォーカスします。

 

1,クロム鞣し

クロムという化学薬品で鞣された革です。世界の革の約85%を占めています。

柔軟性や耐熱性に優れ、傷や水にもある程度の強さがあります。

使用によって色艶が深まる「経年変化」はほぼしません。

 

2,植物性タンニン鞣し

植物由来のタンニンで鞣された革です。紀元前から行われてきた、世界最古の鞣し方です。ヌメ革とも呼ばれます。

こちらは経年変化(エイジング)を楽しめて、「育つ」とも表現される鞣し方です。

よく、「味が出る」と表現される革はタンニン鞣しを指すことがほとんどです。

反面、傷や水には弱く、仕上げによっては汚れなども付きやすいです。

それらを「味」として受け入れることが前提となります。

 

 

・染料仕上げ・顔料仕上げについて

革の仕上げには大きく分けて染料と顔料があります。

 

1,染料仕上げ

粒子の細かい「染料」によって、染められた革です。

染料のみで仕上げられた革は、その革のもつ傷や肌荒れなどの特徴がそのまま表れるため、それらの少ない革が使われます。そのため革の質としては最高であると言われています。

染料には白が存在しないので明度の調整が困難で、中には作るのが難しい色があります。淡いピンクなどは特に難しいです。

 

ANCLAROでは、着色されていないタンローと呼ばれる革に、染料によって手染めを施しています。

 

2,顔料仕上げ

粒子の大きい「顔料」によって表面に塗装されるようなイメージです。

革の持つ特徴を覆い隠して均一な見た目を作ることができ、また、雑に言えばペンキのようなものなので色合いも自由自在です。

 

・実際の製品で多い組み合わせ

 

・クロム×顔料仕上げ

こちらがおそらく革製品では最も多い組み合わせになります

クロムも顔料も品質のばらつきが少なく、歩留まりがいい上に傷がどうとか言われるクレームリスクも低く、量産に向いています。

ハイブランドや量産品の多くはこの組み合わせが多いと思います。

消費者目線でのメリットとしては、まず革由来の「ハズレ」が少ないこと。手入れがほとんどいらないこと。新品時の綺麗な状態が比較的長く続くことが挙げられます。

デメリットとしては、表面を覆い隠してしまうので革らしさがそれほど感じられないこと。それから、顔料の仕上げの質によって塗膜が劣化し数年でべたつきが出る場合があることです。(私が昔持っていたポールスミスの財布は5年ぐらいでベタベタになりました・・・)

 

ハイブランドのラグジュアリーなイメージが好きな方や、ビジネスで手堅く使いたい方。傷や色の変化を避けたくて、手入れが面倒な方にお勧めです。

 

 

・タンニン×染料仕上げ

こちらも少し探せば多く販売されています。

こちらは「ザ・革」といった風合いで、革好きに向けた組み合わせであるといえます。

HERZやイルビゾンテなどのクラフト系のブランドや、ハンドメイド系のブランド・作家さんは多くがこちらです。(ANCLAROもこちら側です)

こちらは染料仕上げの特性上、傷やトラ目、血筋などがそのまま表れます。

大きな傷などはどこも避けて裁断しているとは思いますが、限界はあり、またトラ目や血筋などは革の特徴として不具合扱いは通常しません。

タンニン鞣しの良質な革は、適切なお手入れがされていれば10年、20年と共に過ごすことができて、紫外線や摩擦によるエイジングで時間とともに風格が出てきます。

デメリットとして、基本的に傷や水に弱くデリケートであること。色止めが施されていない素上げと呼ばれる仕上げのものは色移りが激しいことが挙げられます。

 

革の特徴を革らしさとして受け入れることができて、エイジングを楽しみたい方へおすすめです。

 

・その他の仕上げ

クロム×染料や、タンニン×顔料の製品もちろん存在しますが、今回は大きくざっくりと説明するという試みのため、省略します。

 

 

・おわりに

いかがでしたでしょうか。

普段作り手としては改めて考えることはあまりないので、いざ説明してみようと思うと結構ややこしかったです。

今回の説明は詳しい説明を省きましたが、多少は革製品を選ぶ際の参考になれば幸いです。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。